用語解説
ホテルパンとバットの違い——厨房用語辞典

結論から:3段階ピック
迷ったらここだけ読めばOK。詳しい比較は本文で解説します。
「判サイズ」を覚えたら最初に試したい定番。キャビネット判は家庭の冷凍庫にも収まりやすく、この記事で紹介する用語の多くを実物で確かめられます。
「規格袋」「三方袋」「ナイロンポリ」の意味を実物で確かめられる代表格。業務用通販の袋売り場を読み解く最初の1枚です。
| 用語 | 分類 | 一言でいうと | 家庭目線のポイント |
|---|---|---|---|
| ホテルパン | 容器 | GN規格という国際規格にもとづくサイズ体系の容器 | 1/2サイズ以下が冷凍庫収納の現実的なライン |
| バット | 容器 | キャビネット判・手札判など和製の「判」呼称で規格化された浅いトレー | キャビネット判(210×170×30mm前後)は家庭の冷凍庫にも収まりやすい |
| 番重(ばんじゅう) | 容器 | 食品工場・店舗間の輸送・保管に使うプラスチック製の通い箱 | サイズ差が大きく大型は家庭に不向き。中型以下は購入前に外寸を要確認 |
| 規格袋(三方袋) | 袋 | 号数でサイズが決まった業務用の平袋。底と両サイドの三辺をシールした構造 | 彊美人など代表銘柄はノズル式シーラー前提でエンボス式には非対応 |
| ノズル式・チャンバー式 | 脱気方式 | 真空包装機が袋の空気を抜く仕組みの違い | 家庭用の主流はエンボス式。ノズル式かどうかが規格袋を使える条件になる |
| 18-8ステンレス(SUS304相当) | 素材 | クロム18%・ニッケル8%程度を含むさびに強いステンレス鋼 | そのまま家庭のバット・容器の素材としても使われる |
| ポリカーボネート | 素材 | 透明度が高く耐熱・耐冷に強い樹脂 | キャンブロなど海外製の業務用容器で多く使われる |
業務用の厨房用品通販サイトを開くと、「GN1/2」「キャビネット判」「番重」「三方袋」といった、聞き慣れない言葉が並んでいて、どれを選べばいいのか分からなくなった経験はないでしょうか。これらは飲食店の厨房では当たり前に使われている業界用語ですが、家庭向けの通販サイトにはまず出てこない言葉です。この記事は、そうした厨房用語を家庭向けに翻訳する用語辞典です。カテゴリ別に整理した約20語の意味を押さえておけば、業務用通販サイトの商品説明が読み解けるようになり、価格の安い業務用の道具を家庭でも選びやすくなります。
容器・トレー系の用語
まずは、保存や仕込みに使う容器・トレー系の用語です。呼び方の由来がわかると、サイズ選びの基準も見えてきます。
ホテルパン
正式には「ガストロノームパン」と呼ばれる、GN(ガストロノームノルム)という国際規格にもとづくサイズ体系の容器です。基準サイズの1/1(530×325mm)を1として、1/2・1/3・1/6…と分数でサイズが規格化されています。業務用通販サイトでは「ホテルパン 1/2」「GNパン 1/6」のように分数表記で商品名がつけられます。詳しくはホテルパンは家庭の冷凍庫収納に使えるかで解説しています。
GN規格(ガストロノームノルム)
ホテルパンのサイズを定めた国際規格です。Gastronorm規格の解説記事などによれば、1964年にスイスで考案され、1993年に欧州規格(EN 631-1)として制定されたとされています。横×奥行きの「フットプリント」と「深さ」が別々の軸で規格化されているのが特徴で、業務用通販サイトでは型番の横に「GN1/2」「深さ65mm」のように併記されます。
バット
食材を並べたり水切りをしたりするための、浅い調理用トレーです。日本の厨房機器カタログでは、GN規格とは別に「キャビネット判」「手札判」のような「判」の呼び名でサイズが決められています。業務用通販サイトでは「18-8ステンレス角バット キャビネット判」のように、素材名と判サイズをセットにした商品名で並びます。詳しくは蓋付きステンレスバットで下味冷凍・作り置きで解説しています。
判サイズ(キャビネット判・手札判)
バットのサイズの呼び名で、写真の印画紙(プリント)のサイズ規格に由来するとする解説がよく見られます。キャビネット判は外寸210×170×30mm前後、手札判は158×128×25mm前後が代表的なサイズです。同じ呼び名でも通販サイトによって数mm程度の差があるため、購入前に型番ごとの外寸(mm)を確認する必要があります。
番重(ばんじゅう)
食品工場や店舗間で食品を輸送・保管するためのプラスチック製の浅型コンテナで、「通い箱」とも呼ばれます。パン・惣菜・弁当業界で広く使われており、「パンコンテナー」という呼び方もあります。ポリプロピレン製でスタッキングしやすい設計のものが多く、業務用通販サイトでは「番重」「ばんじゅうA型」のように号数・型番付きで並びます。サイズの幅が非常に広く、大型のものは家庭では扱いにくい点に注意してください。
フードコンテナ
食品を入れる容器の総称として使われる言葉です。業務用通販サイトでは、番重やフードパンよりも広い意味で使われることが多く、ポリプロピレン・ポリカーボネート・ステンレスなど素材を問わず「フードコンテナ」という括りで商品がまとめられています。海外ブランドのキャンブロのスクエアコンテナも、このフードコンテナというカテゴリで扱われることがあります。
キャンブロ(Cambro)
1951年創業のアメリカ発、業務用フードストレージの代表的なブランド名です。もともとはブランド名ですが、透明なポリカーボネート製の業務用保存容器を指す一般名詞のように使われる場面もあります。業務用通販サイトでは「キャンブロ 2SFSCW」のように型番とセットで表記され、容量はリットルではなくクォート(qt)基準の数字が使われます。詳しくはキャンブロを家庭で使うならこのサイズで解説しています。
袋・包材系の用語
続いて、真空パックや冷凍保存に使う袋・包材まわりの用語です。同じ「袋」でも、サイズ規格を指す言葉と構造を指す言葉が混在している点に注意してください。
規格袋
号数(1号〜20号など)であらかじめサイズが決められた、業務用の袋の総称です。業務用通販サイトでは「ナイロンポリ規格袋」のように、素材名とセットで商品名がつけられます。彊美人・しん重もんのような業務用の真空パック袋の代表格も、この規格袋というジャンルに含まれます。
三方袋
二枚のフィルムの底と両サイドの三辺を熱シールしてつくる、袋の構造を指す言葉です。規格袋がサイズ規格に着目した呼び方であるのに対し、三方袋は構造に着目した呼び方で、業務用の真空パック袋の多くはこの三方袋の形をしています。業務用通販サイトでは「三方袋」「三方シール」と表記されます。
ナイロンポリ
外側がナイロン、内側がポリエチレンという2層構造のフィルム素材です。ガスバリア性と耐熱・耐冷性を両立しており、真空パック用の袋素材として広く使われています。業務用通販サイトでは「ナイロンポリ規格袋」という商品名が定番です。
エンボス加工
袋の片面に施された、格子状の凹凸のことです。家庭用として広く普及しているエンボス式の真空パック機は、この凹凸を通じて袋の中の空気を抜く仕組みになっています。業務用の規格袋(平袋)にはこのエンボス加工がないため、家庭用エンボス式シーラーでは使えないケースがあります。実際、業務用袋の代表格である彊美人は「家庭用脱気シーラー機(エンボス加工袋)には対応していません」とメーカー公式サイトに明記されています。
ノズル式・チャンバー式
真空包装機が袋の空気を抜く方式の名前です。ノズル式は袋の外からノズル(吸引管)を差し込んで脱気するタイプで、エンボス加工のない市販の平袋(規格袋)を使える可能性が高いとされています。チャンバー式は業務用の密閉された庫内ごと減圧して脱気する方式です。業務用通販サイトでは、機種の説明に「ノズル式」「チャンバー式」と明記されます。詳しくは真空パック袋、業務用と家庭用どちらを選ぶかで解説しています。
マジックカット
手で任意の位置から切り開けるように施された切込み加工です。旭化成パックスの「飛竜」Nタイプなど、業務用の袋に採用されている例があります。業務用通販サイトでは「マジックカット加工付き」と商品説明に明記されます。
素材・規格系の用語
容器や袋そのものの素材・規格を表す用語です。電子レンジ対応の可否や耐熱・耐冷温度にも関わるため、購入前に必ず確認したいポイントです。
18-8ステンレス
クロムを18%・ニッケルを8%程度含むステンレス鋼を指す業界共通の表記です。さびに強く、匂いや色が移りにくいことから、厨房機器の標準素材として広く使われています。業務用通販サイトでは「18-8ステンレス製」と商品説明に明記されます。金属のため電子レンジには対応していません。
SUS304
18-8ステンレスに相当する、JIS規格で定められた鋼種番号です。業務用通販サイトでは「18-8ステンレス(SUS304相当)」のように併記されることが多く、実務上はほぼ同じ意味の言葉として扱われています。
ホーロー(琺瑯)
鋼板の表面を、ガラス質の釉薬で焼き付けてコーティングした素材です。ガラス質の表面のため匂い移りが少なく、蓋を外した状態での直火・オーブン対応をうたう製品もあります。ステンレス同様、金属を含むため電子レンジには対応していません。業務用通販サイトでも家庭用と同じ「ホーロー」「琺瑯」という表記が使われます。詳しくは下味冷凍に最適な容器をプロの品番で選ぶで解説しています。
ポリカーボネート
透明度が高く、耐熱・耐冷性に優れた樹脂です。キャンブロのスクエアコンテナなど、海外製の業務用フードストレージ容器で多く使われています。業務用通販サイトでは、同じ形状でも「ポリカーボネート製」と「トランスルーセント(半透明ポリプロピレン)製」のようにライン別に素材が表記され、耐熱温度が異なる点に注意が必要です。
PVDC(ポリ塩化ビニリデン)
酸素や湿気を通しにくい、バリア性の高い樹脂です。家庭用ラップの代表格であるサランラップの主原料として、旭化成の公式サイトで説明されています。業務用通販サイトの素材説明でも「ポリ塩化ビニリデン」「PVDC」という表記が使われます。
塩ビ(PVC、塩化ビニル樹脂)
伸びがよく、容器の形状に密着しやすい樹脂です。リケンラップ・ダイアラップ・ポリマラップなど、業務用ラップの多くがこの塩化ビニル樹脂(塩ビ系)を素材としています。業務用通販サイトでは「塩化ビニル樹脂」「塩ビ系」と表記され、耐熱130℃前後・耐冷-60℃という数値がセットで示されることが一般的です。詳しくは業務用ラップは家庭で得なのか検証で解説しています。
運用系の用語
最後に、容器そのものではなく、業務用の厨房での「使い方」を表す用語です。家庭の保存にもそのまま応用できる考え方です。
先入れ先出し
古い在庫から先に使う、在庫管理の基本ルールです。業務用の袋や容器に日付・食材名を書き込み、古いものから手前に並べて使う運用を指します。業務用通販サイトの解説記事でも、仕込み・保存の基本として紹介される考え方です。
ドリップ
冷凍した食材を解凍するときに流れ出る水分のことです。ドリップが多いと、うま味や食感が損なわれるとされています。食材を冷凍する速度が速いほど、ドリップの原因になる氷の結晶が大きくなりにくいとされ、食材を薄く広げられる浅型のバットや容器が選ばれる理由のひとつになっています。
急冷
食材の温度を短時間で下げることです。業務用の厨房では、ブラストチラーと呼ばれる専用機器を使い、加熱直後の食材を90℃前後から3℃前後まで短時間で冷やし、細菌が繁殖しやすい温度帯を素早く通過させる運用が一般的とされています。家庭には同等の専用機器はありませんが、浅型の容器で食材を薄く広げて冷凍庫に入れることで、近い考え方を応用できます。下味冷凍の容器選びについては下味冷凍に最適な容器をプロの品番で選ぶでも解説しています。
小分け
食材をまとめてではなく、使う分量ごとに分けて保存することです。手札判のような小型のバットや、サイズの小さい規格袋を使い、一人分・二人分単位で冷凍する運用を指します。冷凍庫の隙間を活用しやすく、使う分だけ解凍できるという利点があります。
用語を知ると道具選びが変わる、という実例もあります。
まとめ:用語を知れば業務用通販サイトが読めるようになる
業務用の厨房用語は、覚えてしまえば決して難しいものではありません。容器はGN規格か判サイズか、袋は規格袋(三方袋)かどうか、素材は18-8ステンレスかホーローかポリカーボネートか——この記事で紹介した約20語の軸を押さえておくだけで、業務用通販サイトの商品説明が一気に読み解けるようになります。
まずは「判サイズ」を体感できるキャビネット判のバット、「規格袋」を体感できる彊美人、「塩ビ」を体感できる業務用ラップの3点から、業務用通販サイトの読み方に慣れてみるのがおすすめです。
なお、本記事で紹介した用語・仕様は2026年7月時点で確認した公開情報にもとづく目安です。メーカー・販売店によって表記や数値に差があるため、購入前に商品ページで最新の情報をご確認ください。
よくある質問
ホテルパンとバットはどう違いますか?
ホテルパンは、GN(ガストロノームノルム)という国際規格にもとづき、横×奥行きのフットプリントと深さが別々の軸で規格化された容器です。一方バットは、キャビネット判・手札判のように日本の厨房機器カタログ独自の「判」呼称で、外寸と深さがセットで決まっています。ホテルパンは同じ横幅・奥行きでも深さを選べるのに対し、バットはサイズ名ひとつに外寸と深さが紐づいている、という点が最大の違いです。詳しくは[ホテルパンは家庭の冷凍庫収納に使えるか](/guide/hotel-pan/)で解説しています。
番重は家庭で使えますか?
番重はもともと食品工場や店舗間で使う輸送・保管用の通い箱で、サイズの幅がとても広いのが特徴です。パンや惣菜の物流で使われる大型サイズ(外寸600mm前後)は家庭の冷蔵庫・冷凍庫にはまず入りません。一方、中型・小型サイズはAmazonやモノタロウで個人でも購入でき、乾物や調理器具の収納棚として転用する例もあります。購入前に号数・外寸を必ず確認してください。
三方袋と規格袋は同じ意味ですか?
厳密には別の軸の言葉です。「規格袋」は号数(1号〜20号など)でサイズが決まっている業務用の袋という、サイズ規格に着目した呼び方です。一方「三方袋」は、二枚のフィルムの底と両サイドの三辺を熱シールした袋の構造を指す言葉です。業務用の真空パック袋の代表格である彊美人・しん重もんは、三方袋の構造を持つ規格袋、というように両方の言葉が同時に当てはまる商品も多くあります。
18-8ステンレスとSUS304は同じものですか?
ほぼ同じ意味で使われますが、厳密には少し立場が違う言葉です。「18-8ステンレス」はクロム18%・ニッケル8%程度を含む合金という成分に着目した通称で、「SUS304」はJIS規格で定められた鋼種番号です。業務用通販サイトでは「18-8ステンレス(SUS304相当)」のように併記されることが多く、実務上はほぼ同じ意味の言葉として扱って差し支えありません。
ノズル式とチャンバー式は何が違いますか?
どちらも真空包装機が袋の空気を抜く方式の名前です。ノズル式は袋の外からノズル(吸引管)を差し込んで脱気するタイプで、エンボス加工のない市販の平袋(規格袋)を使える可能性が高いとされています。チャンバー式は業務用の密閉された庫内ごと減圧して脱気する方式です。家庭用として広く普及しているのは、専用のエンボス加工袋を差し込んで密閉する「エンボス式」で、ノズル式・チャンバー式とは仕組みが異なります。詳しくは[真空パック袋、業務用と家庭用どちらを選ぶか](/guide/vacuum-pack-bag/)で解説しています。