トング
トングは業務用が結局使いやすい

結論から:3段階ピック
迷ったらここだけ読めばOK。詳しい比較は本文で解説します。
新潟県燕市(燕三条)の工房が手がける、板厚しっかりタイプのステンレストングです。家事問屋の調理トングのように、根元に特許登録済みの特殊加工を施してしっかりとした弾力を持たせた製品もあり、毎日使う一生モノの一本を探したい人向けです。
EBMや遠藤商事など業務用メーカーが「万能トング」の名称で展開する18-0ステンレス製トングです。板厚0.4mm前後の標準タイプから1.0mm前後の「極厚」タイプまで幅があり、まずは業務用の定番からトング選びを始めたい人にまず薦めたい選択肢です。
| 項目 | 業務用18-0万能トング | 燕三条ステンレストング | シリコントング | 100均トング(参考) |
|---|---|---|---|---|
| 材質・区分 | 18-0ステンレス(業務用の定番。メーカー各社が「万能トング」の名称で展開) | 18-0/18-8ステンレス(新潟県燕市の工房製。板厚しっかりタイプが多い) | 本体ステンレス+先端シリコンゴムが主流(メーカー例:貝印) | 素材・板厚の表記が少ない廉価品が中心 |
| 板厚・仕様の目安 | 標準タイプ板厚0.4mm前後〜「極厚」タイプ板厚1.0mm前後(EBM公表値の例) | 家事問屋の調理トングで全長約26.7cm・重量約100g、根元に特許登録済みの特殊加工(メーカー公表) | 板厚という考え方はなく、先端はシリコンゴム。貝印の例で全長240mm・重量約128g | 公式な板厚表記がほとんど見当たらない |
| バネ・先端精度の傾向 | 「極厚」タイプは特殊なステンレスバネ材を使用し、5万回超の開閉試験でも変形・破損なしとメーカー・販売店の説明あり | 根元の特殊加工でしっかりした弾力を持たせる例あり(家事問屋) | 適度な弾力で食材をつかみやすいが、金属製ほど強いバネ力を前提にした設計ではない | バネが弱く感じられる、先端がきれいに閉じにくいといった傾向が比較記事等で指摘されることがある |
| 食洗機対応 | 対応と案内される製品が多い(型番により要確認) | 対応と案内される製品が多い(要確認) | 本体ステンレス+先端シリコンのタイプは対応製品が多い(要確認) | 対応可否は商品による(要確認) |
| 実勢価格帯目安 | 標準タイプ600円台〜、極厚タイプ800円台〜1,300円台程度(販売店により変動。要確認) | 2,000円台前後の製品が確認できる例あり(要確認) | 1,500円前後の例あり(要確認) | 数百円(要確認) |
| 向く用途 | 炒め物から盛り付けまで幅広くこなす、業務用の定番から選びたい人向け | 板厚しっかりタイプを一生モノとして長く使いたい人向け | フッ素樹脂加工の鍋・フライパンを傷つけたくない人向け | まず数百円でトングという道具を試したい人向け(参考) |
「トングは業務用が結局使いやすい」——これが本記事の結論です。飲食店の厨房で日常的に使われている「万能トング」という定番の形には、家庭用の廉価なトングにはあまり見られない、板厚とバネの設計へのこだわりがあります。この記事では、EBM(江部松商事)や遠藤商事といった業務用メーカーの「万能トング」の仕様を確認しながら、業務用トングと100円ショップのトングの違いを正直に整理し、新潟県燕市・三条市(燕三条)の工房が手がけるステンレストング、そしてフッ素樹脂加工の鍋・フライパンに向くシリコントングまで、目的別の選び方をまとめました。3段階ピックとしては、板厚しっかりタイプの燕三条ステンレストングを一生モノに、業務用の定番である18-0ステンレスの万能トングをまずはこれに、フッ素樹脂加工のフライパンを傷つけたくない人にはシリコントングを予算重視の選択肢としておすすめします。
業務用トングの設計を見る——「万能トング」という定番の形
業務用の厨房用品カタログや通販サイトを見ると、トングの多くが「万能トング」という名称で並んでいます。特定の食材専用ではなく、炒め物・揚げ物・盛り付けまで幅広い調理シーンで使えることから、業務用メーカー各社がこの名称で定番モデルを展開しています。EBMと遠藤商事という、いずれも業務用調理器具を手がけるメーカーの製品を見比べると、この「万能トング」という形状に込められた設計の違いが見えてきます。
EBMの「18-0万能トング」は、板バネ式の標準タイプと、より頑丈な「極厚」タイプの2系統で展開されています。メーカー・販売店の仕様情報によれば、標準タイプ(大・全長400mm)は板厚0.4mm・重量約100gで、実勢660円(税込)程度で販売されています。一方の「極厚」タイプ(小・全長240mm)は板厚1.0mmとおよそ倍以上の厚みがあり、重量も約127gと重くなります。特殊なステンレスバネ材を使用しており、5万回を超える開閉動作の試験でも変形・破損が見られないという説明が、メーカー・販売店の商品情報に記載されています。
同じ「18-0万能トング」という括りでも、板厚を厚くするほどバネの力は強くなり、先端の閉じ方にも粘りが出やすくなります。新潟県燕市で1951年に創業した遠藤商事の「SA18-0厚口万能トング」(型番BBV04)は、板厚0.7mmで全長240mm・質量80g、実勢1,230円程度(Amazon確認)という仕様です。EBMの標準タイプと極厚タイプの中間に位置する厚みで、板厚という数値ひとつをとっても、業務用トングにはメーカーごと・グレードごとに設計の違いがあることがわかります。
こうした板厚とバネ設計への作り込みは、100円ショップのトングにはあまり見られません。プロ向けの調理器具を紹介する記事の中には、100均トングについて「挟んだ際に先端がしっかり閉じないので、うまく食材をつかめない」という指摘も見られます。すべての100均トングに当てはまるわけではありませんが、板厚やバネの仕様を明記した業務用トングと比べると、こうした「先端の合わせが甘くなりやすい」という傾向が一般的に指摘されているのは事実です。100円という価格を考えれば妥当な作りではありますが、毎日使う道具としての精度を求めるなら、業務用トングに分がありそうです。
トング4タイプを比較する——業務用18-0・燕三条・シリコン・100均
ここからは、業務用18-0ステンレスの万能トング、燕三条のステンレストング、シリコントング、参考として100均トングという4タイプを比較します。
業務用18-0ステンレスの万能トング——まずはここから
前述の通り、EBMの「18-0万能トング」と遠藤商事の「SA18-0厚口万能トング」が、業務用トングの入り口として分かりやすい選択肢です。板厚0.4mm前後の標準タイプから1.0mm前後の「極厚」タイプまで幅があり、まずは業務用の定番から試してみたいという人には、板厚0.7mm程度の中間グレードや極厚タイプが候補になります。
燕三条のステンレストング——板厚しっかりタイプの一生モノ
新潟県燕市・三条市(燕三条)は、金属洋食器や作業工具の産地として知られ、トングを手がける工房も複数あります。例えば新潟県燕市の家事問屋が展開する「調理トング」(型番39056)は、全長約26.7cm・重量約100gで、18-0ステンレスに先端は66ナイロン(ガラス繊維入り、耐熱250℃・耐冷-20℃)を組み合わせた仕様です。根元部分には特許登録済みの特殊加工が施されており、しっかりとした弾力を持たせているとメーカーは説明しています。同じ燕市の新越ワークスも、「Three Snow」ブランドで18-8ステンレス製の業務用トングを展開しており、下村工業・下村企販のように握りやすさを追求したトングを手がけるメーカーもあります。燕三条には板厚やバネの作り込みにこだわる工房が複数存在し、産地全体としてトングづくりの層が厚いことがうかがえます。
一生モノとして長く使うトングを探すなら、こうした燕三条の工房が手がける、板厚しっかりタイプのステンレストングが候補になります。
シリコントング——フッ素樹脂加工の鍋・フライパン向け
金属製のトングが向かない場面もあります。それが、フッ素樹脂加工(いわゆるテフロン加工)を施した鍋やフライパンです。フッ素樹脂の塗膜は一般に耐熱温度が約260℃とされ、硬い金属製の調理道具で擦ったり挟んだりすると、コーティングを傷つけてしまうおそれがあります。そこで使われるのが、本体はステンレスで先端だけをシリコンゴムで覆ったタイプのトングです。貝印の「House SELECT シリコーントング」(型番DH-7106)は、サイズ約33.4×4.5×4cm・重量約128g、先端のシリコンゴム部分の耐熱温度は210℃という仕様です(メーカー公式・販売店情報より)。下村企販も「フライパンをキズつけないシリコントング」という名称の製品を展開しており、フッ素樹脂加工のフライパン向けという用途がそのまま商品名になっています。
18-0ステンレスと18-8ステンレスの違い
トングの商品名によく出てくる「18-0」「18-8」という数字は、クロムとニッケルの含有量を表す通称です。18-0ステンレスはクロム18%・ニッケルをほとんど含まない鋼種で、磁石に反応する性質があります。18-8ステンレスはこれにニッケルを8%程度加えた鋼種で、磁石に反応しにくく、金気(かなけ)と呼ばれる金属特有の味や感触が出にくいとされ、口に直接触れるカトラリーで好まれる傾向があります。トングは食材をつかむ調理道具で、スプーンやフォークのように口に触れるわけではないため、EBMや遠藤商事の業務用「万能トング」のように、コストを抑えられる18-0ステンレスが標準的に使われています。18-8ステンレスについては、ホテルパンとバットの違い——厨房用語辞典でも詳しく解説しています。
シリコントングの使いどころ——鉄フライパンとは逆の適材適所
鉄フライパンの記事では、鉄フライパンの手入れに金属のヘラや竹ささらを使っても問題なく、むしろ焦げつきをこそぎ落とすのに向いていると紹介しました。フッ素樹脂加工の鍋・フライパンでは、この考え方がそのまま逆転します。フッ素樹脂の塗膜は鉄のように硬い金属とこすれる前提で作られておらず、金属製のトングやヘラを使うと表面のコーティングを傷つけてしまうおそれがあるためです。フライパンや鍋のメーカー各社も、フッ素樹脂加工の製品には樹脂製やシリコン製のやわらかい調理道具を使うよう案内しています。
同じ「トング」という道具でも、鉄フライパンには業務用の金属製トングが、フッ素樹脂加工のフライパンにはシリコントングが向くというように、鍋・フライパンの素材によって適材適所が分かれます。両方を使い分けたい場合は、金属製とシリコン製の2本を用途ごとに使い分けるのが確実です。
トングの長さで選ぶ——盛り付けは短め、揚げ物・焼き物は長め
写真はイメージです
トングは板厚やバネの強さだけでなく、長さによっても使い勝手が変わります。調理道具の選び方を紹介する複数のサイトで共通して案内されているのが、用途に応じた長さの目安です。
24cm前後のトングは、炒め物や焼き物、盛り付けや取り分けまで1本でこなしやすいオールマイティなサイズとして紹介されています。前述のEBM極厚タイプ(小・240mm)や遠藤商事のBBV04(240mm)、家事問屋の調理トング(約26.7cm)も、いずれもこの長さに近い仕様です。
13cm前後の短いトングは、先端に力が伝わりやすく、盛り付けなど繊細な作業に向いています。ただし調理に使うと熱源に近づきやすく、手元が熱くなりやすいため、加熱調理にはあまり向かないとされています。
30cm前後の長いトングは、揚げ物やバーベキューなどの焼き物調理に向いています。熱源からの距離を確保しやすく、手元が熱くなりにくいという理由です。EBM標準タイプ(大・400mm)のように全長400mm前後のトングは、この用途に近い長さといえます。
まとめると、盛り付けや取り分けが中心なら短め、揚げ物・焼き物など火を使う調理が中心なら長め、両方をこなしたいなら24cm前後のオールマイティなサイズという順番で選ぶのが実用的です。
万能トング1本で調理が完結する使い勝手は、家庭でも支持されています。
まとめ:トングは業務用の「万能トング」が結局使いやすい
業務用の厨房で「万能トング」という定番の名称が根づいているのは、板厚とバネの設計に裏付けられた理由があります。EBMの標準タイプ(板厚0.4mm)から極厚タイプ(板厚1.0mm)、遠藤商事の厚口タイプ(板厚0.7mm)まで、業務用トングにはメーカー・グレードごとに板厚の作り込みの違いがあり、100均トングで指摘されがちな「先端が閉じにくい」という声も少なくなります。
3段階ピックとしては、板厚しっかりタイプの燕三条ステンレストングを一生モノに、業務用の定番である18-0ステンレスの万能トングをまずはこれに、フッ素樹脂加工の鍋・フライパンを傷つけたくない人にはシリコントングを、というのが本記事の結論です。
なお、本記事で紹介した仕様・重量・実勢価格は2026年7月時点でメーカー公式サイト・主要な通販サイトで確認した情報にもとづく目安です。価格は販売店やセール時期によって変動するため、購入の直前に商品ページで最新の情報をご確認ください。
よくある質問
「万能トング」とはどんなトングですか?
業務用の厨房用品カタログや通販サイトでよく使われる商品名で、EBM(江部松商事)や遠藤商事など複数の業務用メーカーが「18-0万能トング」という名称で展開しています。特定の食材専用ではなく、炒め物・揚げ物・盛り付けまで幅広い調理シーンで使えることから、業務用トングの定番の形状を指す言葉として使われています。
業務用トングと100円ショップのトングは何が違いますか?
板厚とバネの設計に違いが出やすいと考えられます。例えばEBMの「18-0万能トング」は、標準タイプで板厚0.4mm、より丈夫な「極厚」タイプでは板厚1.0mmとされ、極厚タイプは特殊なステンレスバネ材を使用し、5万回を超える開閉試験でも変形・破損が見られないとメーカー・販売店の商品説明に記載されています。一方、100円ショップのトングを紹介する記事では、挟んだ際に先端がしっかり閉じず、うまく食材をつかめないという指摘も見られます。すべての100均トングに当てはまるわけではありませんが、こうした傾向が一般的に指摘されています。
フッ素樹脂加工のフライパンには金属製のトングを使ってはいけませんか?
避けたほうが無難です。フッ素樹脂の塗膜は一般に耐熱温度が約260℃とされ、硬い金属製の調理道具で擦ったり挟んだりすると表面のコーティングを傷つけてしまうおそれがあるため、樹脂製やシリコン製のやわらかい調理道具を使うことがメーカー各社から案内されています。本記事で紹介した鉄フライパンは金属のヘラやたわしを使った手入れが前提でしたが、フッ素樹脂加工の鍋・フライパンではまったく逆の考え方になる点に注意してください。
トングの長さはどう選べばいいですか?
用途に応じて選ぶのが基本です。24cm前後は炒め物や盛り付け、取り分けまで幅広くこなせるオールマイティなサイズとして紹介されています。13cm前後の短いトングは先端に力が伝わりやすく盛り付けなど繊細な作業に向く一方、熱源に近づけて使う加熱調理にはあまり向きません。30cm前後の長いトングは、揚げ物やバーベキューなどの焼き物調理で熱源からの距離を確保しやすく、手元が熱くなりにくいとされています。
18-0ステンレスと18-8ステンレスはどちらを選ぶべきですか?
トングに関しては、18-0ステンレスでも問題ない場合がほとんどです。数字はクロムとニッケルの含有量を表す通称で、18-8ステンレスはニッケルを加えることで磁石に反応しにくくなり、金気(かなけ)と呼ばれる金属特有の味や感触が出にくいとされ、口に直接触れるカトラリーで好まれる傾向があります。トングは食材をつかむ調理道具で、スプーンやフォークのように口に触れるわけではないため、EBMや遠藤商事の業務用「万能トング」のように、コストを抑えられる18-0ステンレスが標準的に使われています。18-8ステンレスについては、[ホテルパンとバットの違い——厨房用語辞典](/guide/hozon-yogo-jiten/)でも詳しく解説しています。